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2025/08/05 13:44
ナノバブル(ウルトラファインバブル)は、直径1μm未満の超微細な泡で、水産業において水質管理・酸素供給・生育促進・抗菌・鮮度維持など多彩な応用が進んでいます。ここでは、国内外の事例と研究成果を中心に各分野での利用効果をご紹介します。
1. 養殖水環境の改善と酸素供給 (RやRASシステム)
ノルウェー・Lødingen Fisk(サーモン養殖)
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Moleaer社のナノバブル装置を北欧のサーモン循環式養殖(RAS)施設に導入。
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効果:
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溶存酸素濃度が 23%向上
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濁度30%低下
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亜硝酸蓄積が70%減少
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生物ろ過処理効率が向上し、給餌効率(FCR)や成長率も改善
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これらにより、運用コストと薬剤使用量が大幅に低減
art-verre.commakotodenki.co.jp+4moleaer.com+4The Fish Site+4The Fish Site
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空気・酸素ナノバブルの一般的効果
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ヤパラトネらによるレビューでは、空気/酸素ナノバブル水が魚やエビの生残率・成長率を向上。さらに、浄化処理や病原体制御にも有効と報告されています。
水中の酸素量向上、バイオフィルム除去、免疫活性化などの複合効果が挙動しました。
PubMedResearchGate
タイのプロジェクト:抗菌剤使用削減
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タイの商用魚養殖において、オゾンナノバブルによる病原菌対策と免疫強化を実施。
免疫応答の促進、菌の抑制、感染時の生存率向上などを確認し、抗生物質使用の削減につながる技術として期待されています。
anzaimcs.com+2lab-nano.com+2anzaimcs.com+2
2. 生理活性・稚貝や稚貝類の成長促進
茨城県の貝類種苗研究(はまぐり・アワビ)
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気液2相旋回方式によるマイクロナノバブル水を稚貝の育苗に導入。
結果、生育速度・生残率・摂餌量が向上し、従来比で早期育成が可能に。
10槽へ対応しながら育成効果を検証したシステム開発に成功。
itic.pref.ibaraki.jp
真鰻養殖における循環型浄化活用
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愛知県のウナギ養殖場ではナノバブルシステムを導入し、循環養殖システム(RAS)に成功。
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養殖密度は5倍
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燃料コスト80%減、電力消費25%削減
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育成ロス率は17%→8%
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汚泥発生量75%減少
高効率・低コストで持続可能な養殖に貢献し、地元でも環境賞を受賞しています。
ウィキペディア+15anzaimcs.com+15lab-nano.com+15
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3. 鮮度保持・輸送中の劣化防止
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ナノバブル水(水素・酸素などを封入)を用いた水槽で魚類やカニ類を輸送・蓄養する事例。
数日間鮮度が保たれ、輸送中の死亡率が低下。生簀のカニも長生きするようになったとの報告もあり、小規模店舗や仲卸にも導入が進んでいます。
art-verre.com+1lab-nano.com+1
4. 病害制御と免疫強化
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オゾンナノバブルの抗菌・抗ウイルス作用については、ティラピアを対象にA. hydrophila感染を防ぐ実験で生存率改善と免疫応答促進が示されました。
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ナノバブル水中での微生物制御、バイオフィルム除去、水中ウイルスの不活化など、水質衛生の改善にも効果を発揮しています。
lab-nano.com
5. SDGs(持続可能性)視点での意義
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FAO(国連食糧農業機関)も、ナノバブル技術の持続可能な養殖強化への応用可能性をレポートにて提言。
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DO維持による高密度養殖
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魚へのストレス軽減
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化学処理不要による環境負荷低減
経営効率と環境保護の両立に寄与する技術と位置づけられています。
moleaer.comResearchGate
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総まとめ:ナノバブルは水産業の“革新技術”
利用目的 | 効果 | 具体事例・効果例 |
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酸素供給・水質改善 | 溶存酸素上昇・濁度減・バイオフィルム除去 | Lødingen Fiskで23%DO↑、30%濁度↓、亜硝酸減少70%など |
生育促進・成長速度 | 成長率向上・生存率向上 | アワビ・はまぐり種苗、ウナギ養殖で育成早期化 |
病害抑制・免疫強化 | 病原菌制御・免疫応答促進 | ティラピアの感染症対策で生存率改善 |
輸送鮮度維持 | 鮮度維持、酸欠防止、輸送死亡率低下 | 小規模生簀/仲卸利用で魚やカニの鮮度向上 |
環境配慮・コスト効率 | 化学薬品削減・エネルギー削減・循環型養殖の実現 | 環境賞受賞のウナギ養殖、汚泥削減、燃料削減 |
今後の展望と開発ポイント
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生成方式や濃度制御の最適化:酸素・オゾンの封入比、泡サイズ、滞留性などの設計技術が鍵。
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経済性・導入コストの検討:中小規模農場向けの低価格ソリューション開発を含め、普及拡大が期待。
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安全性検証・規制対応:薬剤削減による微生物リスク低減や、施工制度の整備が進むことで安心して利用可能に。